2011/06/30

食中毒の感染経路 ~もやしやカイワレがO-157に汚染と疑われましたが果たして?

 2ヶ月程前、世間を騒がせた焼き肉店での集団食中毒事件、運営会社は再建を断念し清算手続きに入るとされています。改めて食中毒を起こした時の影響の大きさを思い知らされます。また、ヨーロッパでは腸管出血性大腸菌O-104が猛威を振るいました。ドイツからヨーロッパ全土に広がり、20名以上が死亡する惨事に至っています。感染源は野菜ではないかと言われていますが、はっきりしていません。
 野菜が感染源とされた食中毒と言えば、1996年に大阪府堺市で発生したO-157による集団食中毒でもカイワレ大根が原因とされ、カイワレ大根の種子や農園の井戸水から汚染されたのではないかという疑いがかけられました。確かに、水が汚染源となった食中毒として、日本で始めてO-157による死者を出した「しらさぎ幼稚園事件」があります。1990年の秋、埼玉県の私立幼稚園で園内にある井戸水を飲んだ園児やその家族から319名の患者が発生し、そのうち2名の園児が不幸にも無くなってしまいました。県の調査では、井戸から5m離れたトイレの浄化槽汚水タンクに亀裂が生じており、そこから汚水が井戸に混入したことが原因と判明しました。

川や池などの水源近くに牧場などがあり、その水源が牛の糞便などで大腸菌に汚染されていたら、その水を利用した農産物も汚染されたる可能性は低くありません。また、最近は化学肥料を使わない有機農業による栽培が増えていることも感染の可能性を高めた可能性もあります。過去の実験では、牛糞の中でO-157が最高70日間生き続けたという例もあり、牛糞などの有機肥料を使うことも野菜がO-157に汚染される原因になるとされています。
しかし、このようなことが原因で野菜がO-157に汚染されるケースは無いとは言えないものの、食中毒の大半が「ヒト」が何らかの原因と言えます。ヒトの手から感染が拡がる場合、まな板や包丁など、汚染された器具を消毒せずに使用したり、必要な食材の加熱を怠った場合など、いずれもヒトを媒体としたり、ヒトが行う作業に問題があると食中毒に繋がります。
 「汚染の原因はヒト」であることを認識し、必要な予防措置をしっかり取ることが、食中毒防止の基本であることは言うまでもありません。